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契約書のトラブル

契約書のトラブル

事業活動においては、仕入れや販売など売上げに直結する取引もありますし、御社の基礎となる事業所の賃貸借契約や機器のリース契約、不動産売買契約もあります。
従業員との間の雇用契約も重要です。

御社の事業活動のあらゆる面において、事前にトラブルを予防するためには、事案に応じた適切な契約書を作成しておくことが必要です。
契約書作成については、是非一度、弁護士に相談されることをお勧めいたします。


1 必ず契約書を作成してください

御社は、すべての取引について、「契約書」を作成していますか?

「長年取引している親しい関係なので、契約書は作成していない。」
「発注書と受注書があるので、契約書は作らなくてもよい。」
等々の理由で契約書を作成せずに取引を行っている会社もあるのではないでしょうか?

しかし、契約書作成は、事前にトラブルを予防し、御社の損害を防ぐ「予防法務」の第一歩です。
契約書を作成せずに後のリスクを防止したいというのは、歯磨きせずに虫歯を防ぎたいというようなものです。

私どもの事務所で相談を受けたケースでは、契約書を作成せずに数千万円の取引を行っていて、後に取引条件が問題となり、契約書がなかったために大きな損害を被ったケースがありました。
「発注書」や「受注書」は、取引があったことの証明にはなりますが、通常、取引の対象や納期、代金が記載されているだけであり、「取引が順調に進んだ」場合のことしか書かれていません。

契約書は、「取引が何らかの事情で順調にいかなかった」場合、どのようにするかを事前に協議し、双方が事後のリスクを軽減するためのものであり、取引先との円満な関係を維持するためにも必ず作成する必要があります。

まさに、「親しき仲にも契約書あり」なのです。


2 その契約書は御社にとって不利益なものではないですか

御社が現在使用されている契約書は、どのように作成されたものでしょうか?

「取引先から契約書案を渡されて、それに署名捺印した」
という場合が多いのではないでしょうか。

どちらにも契約書案がない場合に、御社の方で契約書を作ったという場合もあるかもしれません。
その場合には、過去の別の会社との契約書や、書籍やインターネットから入手した「契約書のひな形」を参考にしたというのが一般的でしょう。

しかし、いずれであっても、御社のリスクは軽減されていないばかりか、かえって御社が損害を被るリスクを高めているケースがあるのです。

(1)取引先が作成した契約書は危険です

取引先から示される契約書は、「相手方に有利になるように規定した契約書」であり、御社にとって不利な条件が定められていることが非常に多いと言えます。
特に、取引先の会社に顧問弁護士がいて、契約書について相談できる体制があれば、会社のリスクを軽減するために、御社にとって不利な条項を定めているケースが多いです。

そして、そのような不利益条項に対応するためには、御社も「契約書の専門家」によるチェックをして対応することが必要不可欠なのです。

例えば、次のような契約条項が定められている場合はいかがでしょうか?
取引先(甲)から御社(乙)が委託制作業務を受注する契約書の条項です。


第○条 契約終了後の措置

何らかの事由により、第○条の委託制作業務が完了しないまま本契約が終了した場合であっても、
第○条の委託制作業務の成果と認められる中間成果物その他の成果物が存する場合において、
甲が請求した場合は、乙は、当該成果物を甲に引渡さなければならないものとする。
この場合、甲は、当該部分を評価した上、これに対する相当な報酬額を支払うものとする。


「何らかの事由により」契約が終了した場合でも、制作途中の成果物がある場合は、報酬を支払ってもらえるという規定であり、それだけを聞けば、御社(乙)にとって悪い話ではないような気もします。

しかしながら、上記の契約条項からすれば、報酬を支払ってもらえるのは、「甲が請求した場合」に限ります。
取引先(甲)が請求しなければ、契約終了の理由が何であったとしても、また、完成間際まで制作していたとしても、御社は、何ら取引先に請求することはできないのです。

さらに、取引先が御社に対して中間成果物を引き渡すように請求した場合、その報酬額は、「甲は、当該部分を評価した上」で決定するとあります。
御社としては、元々約束していた委託物の「90%は完成した」と考えていたとしても、取引先(甲)が、「10%」と評価すれば、それだけの報酬しか受領できないのです。

これは決して極端な例ではありません。
取引上、不利な条項を押しつけられてもやむを得ないような関係ではなく、対等な取引関係において、こちらのチェックが不足していたために、実際に締結してしまった契約書の条項です。

相手方から示される契約書案には、そのような不利益条項が多数含まれていると考えるべきです。

(2)過去の契約書や一般的な「契約書ひな形」をそのまま用いていませんか

取引先が作成した契約書案ではなく、御社が過去の取引契約書を参考にしたり、一般的な「契約書のひな形」を参考に作成した契約書はどうでしょうか?

過去の取引契約書が御社に有利なものであれば良いですが、それが前記のような不利益なものであれば、御社は、自ら不利益な条項を提案していることになり、リスクを高めているだけになってしまいます。

書籍やインターネット上の「契約書ひな形」を参考に契約書を作成すること自体は問題ありませんが、「契約書ひな形」をそのまま利用してしまうことは大きな問題があります。

そもそも、書籍やインターネット上の「契約書ひな形」は、その取引の一般的な条項を抽出したものにすぎず、当然のことながら、御社のリスクや利益については考慮されていません。
また、御社と取引先との間の取引の特殊性も反映されていません。

「契約書ひな形」を用いるにしても、その契約の実体を反映し、御社のリスクを回避し、利益を守るものに改変しなければ、意味がないのです。

また、「契約書ひな形」には、契約当事者の双方にとって不利益な規定がある場合もあります。

次のような条項はどうでしょうか?
継続的な取引契約において、相手方の経済状態が悪化した場合などに、即時解除が認められるという一般的な解除条項です。


第○条(解除)

甲及び乙は、相手方に次の各項に定める事由のいずれかが発生したときは、何らの通知催告を要せず、直ちに本契約を解除することができる。
(1)本契約を継続しがたい重大な背信行為を行った場合
(2)支払停止状態に陥った場合その他財産状態が悪化しまたはその虞があると認められる相当理由がある場合
(3)手形交換所の取引停止処分を受けた場合
(4)差押、仮差押、仮処分、競売、租税滞納処分の申立を受けた場合
(5)破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生若しくは特別清算開始の申立てがあった場合は解散若しくは営業の廃止を決議した場合


この条項の(4)には、「差押え、仮差押、仮処分」などを起こされた場合も、即時に解除できることが定められています。

しかしながら、「仮差押」や「仮処分」は、御社が第三者との間で取引上の意見の食い違いがあった場合などに、突然、相手方から起こされる場合があり、御社の経済状態には一切関係ありません。

経済的にまったく問題のない会社であっても、何らかの法的トラブルにより、「仮差押」「仮処分」がなされるケースは多数あります。

このような場合、もし御社の契約書に上記条項があれば、全然関係のない別の会社とのトラブルにより、直ちに全ての取引が解除されてしまうこともあり得るのです。

上記条項は、法的紛争が少なく、「仮差押」をされただけでも会社の信用を失った時代の遺物だと思いますが、今も多くの「契約書ひな形」で採用され、そのまま利用されています。

このような問題のある条項を排除し、実際の取引関係に即した契約書を締結することが、御社のリスクを回避し、円滑な取引関係を維持することにも繋がるのです。


3 弁護士にご相談下さい!

契約書は、一旦作成してしまうと、後に変更することは非常に難しいと言えます。
御社のリスクを軽減する「予防法務」のためにも、契約書の作成やチェックを、経験豊富な専門家である弁護士に依頼されることをお勧めします。

取扱い業務

1 契約交渉
2 契約書作成
3 契約書のチェック
4 締結済みの契約書のリスク管理と変更交渉


 
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